MENU

東北大学 災害科学国際研究所 災害リスク研究部門 IRIDeS 災害リスク研究部門
ENGLISH

どんな研究してるの?

過去の長期的な砂浜侵食

仙台湾南部の山元海岸の1968~2012年の空中写真
仙台湾南部の山元海岸の1968~2012年の空中写真

砂浜は,山から川,そして川から海へと供給される土砂により,数百年,数千年という長い年月をかけて形作られてきました.しかし,明治時代以降の日本の近代化,戦後復興,そして高度経済成長の中で,土砂災害を防ぐための砂防事業や治水・利水のためのダム建設,港湾建設などにより,土砂の供給が遮断され,砂浜の侵食が進行しました.戦後は,度重なる海岸災害に対する防災機能を高めるために,1956年に海岸法が制定され,全国各地で堤防建設などの海岸整備が行われました.これらの整備は防災上大きな効果がありましたが,砂浜侵食に対しては十分な対策が取られず,砂浜侵食はより深刻なものとなりました.砂浜侵食が生じると,波のエネルギーを弱める機能が失われ,堤防などの構造物を安全に維持できなくなるだけでなく,生態系などの環境面や砂浜の利用面においても悪影響があります.このため,1970年代頃から海岸侵食対策が行われるようになり,1999年には防災だけでなく環境や利用に配慮するよう,海岸法が改正されました.こうした努力により,以前よりは侵食の進行が抑制されているものの,現在も侵食問題の解決には至っていません.私たちは,これに対応するため広域の土砂循環に関する研究に取り組んでいます.

将来の砂浜消失の予測

将来の海面上昇による日本の砂浜消失被害曲線と0.6 mの海面上昇に対する砂浜消失率の全国分布
将来の海面上昇による日本の砂浜消失被害曲線と0.6 mの海面上昇に対する砂浜消失率の全国分布

2014年,「温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」(環境省)の報告書が公表されました.報告では,温暖化によって,今世紀末までに全国の砂浜の多くが消失する,洪水や高潮による被害が増大する,といった災害への影響が予測されており,この砂浜消失については,有働恵子准教授が予測を行ったものです.現時点で既に砂浜侵食が進行しているために,数十cmの海面上昇であっても将来の砂浜消失率が8割をこえるところもあります.消失の度合いに応じて,波のエネルギーを弱める減災機能や生態系などの環境機能,レクリエーション等の利用の場としての機能が失われます.海面上昇による砂浜消失は長期的に生じるもので,その影響はじわじわと私たちに迫ってきます.私たちは,将来起こりうる影響へのよりよい適応策を検討するための,長期砂浜モデルの開発や砂浜の経済評価に関する研究に取り組んでいます.

記事

動画